身近な医療情報
夜間頻尿について
皆さんは夜間頻尿で困っていませんか?夜間頻尿とは寝ている時間中に2回以上トイレに起きてしまう症状です。夜間排尿回数は、寝る前の水分摂取量や睡眠時間の長さなどによって人それぞれ変わってきます。普通は1回以下とされていますが、年をとったら誰でも夜トイレに起きるもんだ・・・なんて思っている人は多く、病気と感じていない人も多いようです。
怖い話ですが、「夜おしっこをする回数が多い人ほど死亡率が高まる」という説があります。「夜間4回以上トイレに行く人は、1回以下の人に比べ3.6倍死亡率が高くなる」という研究結果が報告されました。高血圧症や糖尿病、まれに心不全が夜間頻尿の原因となることがあり、その合併症で死亡の危険度が高まる可能性があります。夜間頻尿自体が命を縮めることはありませんが、夜間頻尿はそうした病気のサインとなることも覚えておく必要があります。
夜間頻尿の原因には男女差があります。男性では前立腺肥大症による膀胱刺激症状が原因となることが多く、前立腺の検査が必要です。まれに膀胱癌や前立腺癌の初期症状の可能性もありますので、泌尿器科専門医への受診が必要です。女性では細菌性膀胱炎や過活動膀胱による膀胱刺激症状が頻尿の原因として多いようです。過活動膀胱は50才以上の女性に多く「急におしっこに行きたくなったら我慢できない」ことが主な症状ですが、関連症状として夜間の尿回数が増えます。やはり泌尿器科専門医に受診し、尿検査や膀胱機能の評価が必要です。
その他、夜間頻尿の原因として睡眠障害があります。私の診療所へ来る夜間頻尿の患者さんの半分くらいは、睡眠障害が原因です。加齢により睡眠が浅くなり、目が覚めたら何となくトイレに行きたくなります。この場合は、何となくトイレに行くため、1回の排尿量が少ないことが特徴です。若者のように膀胱がパンパンになってトイレに起きるのとは異なります。
最近では睡眠時無呼吸症候群(SAS)が夜間頻尿の原因と深く関わっていることが分かりました。SASにより睡眠が浅くなり、目が覚めたときに何となくトイレに行ってしまいます。夜間頻尿にはさまざまな病気が関わっている可能性があります。もし最近、夜何回もトイレに行くようでしたら、心配する前に泌尿器科の先生にご相談してみて下さい。
さぬき診療所 讃岐 邦太郎 先生