身近な医療情報
最近脚がむくんできた・・・下腿浮腫に隠された病気の話
読者の皆さま自身、あるいは身近な方にこんな悩みはありませんか?普段外来診療や訪問診療を行っていると、とてもよく耳にする症状です。
「脚のむくみ」は誰でも経験することで、通常は重力の影響で脚に血液・水分が貯まることで起こる現象です。血液の流れというのは心臓から動脈の拍動によって手足末端に運ばれ、静脈で心臓に返されるのですが、静脈は拍動ではなく筋肉が収縮することで血液を運んでいます。立ち仕事や座り仕事を長くすることで血液の流れが滞り、次第に脚がむくんでくるのです。
この誰でも経験する脚のむくみは放置して良いのでしょうか?脚のむくみに隠された病気や異常は実に多く、適切に診断・治療がされないと手遅れになる病状もあります。脚がむくんでしまう病気はどんなものがあって、どのように調べて対処すれば良いのか?をご紹介します。
①血液の流れが悪くなっている可能性があります
血液の流れは心臓や動脈の拍動によって送られます。また、逆に静脈から心臓のポンプ機能によって引き返しています。例えば「不整脈」や「心不全」という病気になると血液の流れが悪くなり、両脚ばかりでなく顔や手もむくんできます。また「下肢静脈瘤」といって、静脈の逆流防止弁が壊れて脚の血管がボコボコと腫れてしまう状態は、かゆみや色素沈着なども生じます。また震災時に有名になった「深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)」になると強い痛みも生じ、血栓が肺に飛んで重篤な状態になることもあります。
これらの血液の流れはエコー検査などで診断し、状態に合わせた治療を行います。
②からだに余分な水分が貯まってしまっている可能性があります
からだに吸収された水分は血液の循環によって配分され、余剰な水分は腎臓で代謝されて排尿することで調整されています。例えば「腎臓の機能が低下」すると水分が貯まってしまい脚の浮腫につながります。「貧血」も血液が薄くなった状態で脚の浮腫で気づかれることもあります。その他、薬の副作用や偏った食生活、甲状腺ホルモンの異常など様々な原因で水分の代謝が崩れ、脚の浮腫になっている可能性があります。
これらの疾患は血液検査などで診断し、状態に合わせた治療を行います。
このように、脚の浮腫には様々な病気が隠されていることがあり、決して軽視せず医師に相談するようにしましょう。
薬師台おはなぽっぽクリニック 野口 泰芳 先生