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糖尿病で腎臓が悪いといわれたけど蛋白尿が出てないから大丈夫と思っていませんか?

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糖尿病で腎臓が悪いといわれたけど蛋白尿が出てないから大丈夫と思っていませんか?

 現在、全国で30万人の透析患者のうち透析を受ける第1位の原因は糖尿病で、毎年約1万6,000人が新規に透析導入されています。つまり約1000万人の糖尿病患者のうち約30%から40%が糖尿病性腎症といわれて透析予備軍となっているわけです。典型的な経過は、初期には無症状ですが尿にアルブミンというタンパクが少量みられ、それがだんだんと蛋白尿として目立ってくるとネフローゼ症候群となり浮腫や尿毒症症状(食欲不振、全身倦怠感など)が出現し腎障害の進行とともに腎不全となり透析あるいは腎移植を受けることになります。


 しかし、近年、このようなアルブミン尿を示さず、急に腎機能が低下していく糖尿病患者が増えています。つまり、蛋白尿がないので安心していたら、ある日あなたは透析を受けた方がよいでしょうといわれる患者が増えているのです。蛋白尿の存在は今までどおり重要な所見ですが、蛋白尿がなくてもeGFR(推算糸球体濾過値:血清クレアチニン値、年齢、性別から計算される値)が低下していたりすると腎不全予備軍となります。血糖値はもちろん血圧や血中LDLコレステロール、中性脂肪値のコントロール、禁煙、適正体重の維持等々が大切になります。どういうことかと申しますと、①糖尿病性腎症とよばれる従来の型に加え、②糖尿病性腎症に腎硬化症の合併、③糖尿病に別の腎臓病(IgA腎症、多発性嚢胞腎など)の合併などが考えられますが、これらをまとめて糖尿病性腎臓病とよんで治療していこうという診療ガイドラインが2018年に提唱されたのです。日本で非典型的な糖尿病性腎症が増加してきた背景には、高齢化があります。前立腺がん、乳がんや認知症が増えてきたのも長生きするようになったせいだとも言えます。人生100年の時代に向け、おいしく食べ気持ち良く寝られるために自己管理を徹底して丁寧に生きようではありませんか。


グランハート透析クリニック 小篠 榮 先生

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