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HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンをご存知ですか?
HPVワクチン(子宮頸がんワクチンともいわれます)は、数年前思春期女性に定期接種として日本でも導入されたワクチンです。
HPVワクチンはなぜ子宮頸がんワクチンと言われるのでしょうか。
子宮頸がんは、子宮の入り口付近に発生する悪性腫瘍で、発症した場合子宮や周囲の臓器を摘出し妊娠の可能性が奪われるだけでなく、亡くなる可能性もあります。
子宮頸がんの原因は、HPV感染がほぼ100%です。これは性交渉で感染します。日本の80%の女性が一生に一度は感染するとされ、多くの女性が子宮頸がんになるリスクがあります。子宮頸がんを克服するにはこのウイルスを封じ込める必要があります。それがHPVワクチンです。性交渉の経験前にワクチンで予防することが効果的なため思春期の女性に接種しますが、わけあって現在日本では推奨されていません。
海外では積極的に接種されています。例えば、オーストラリアでは接種率90%超、2028年にはHPVウイルスを克服し子宮頸がんは10万人に1人未満と予想され、がんも克服される見込みです。
日本は、10年前のワクチン導入時は接種率70%だったのが、現在は1%も接種していません。理由はワクチンによる副反応で力が入らない女性が多発したこと、マウス実験で脳障害がでたと報告されたことによります。現在、双方ともワクチンとの因果関係はないとされ、小児科学会、産婦人科学会など15医学会が国に対して積極的勧奨再開を要望しています。
北海道大学産婦人科学教室のシャロン・ハンリーさんによると、日本で2020年から2050年まで今のワクチン接種率でいくと10万人が子宮頸がんを発症、うち2万人が死亡すると予想しています。
このような日本の状況は、WHO(世界保健機構)でも危惧されています。
これらHPVワクチンの背景を知ったうえで、子どもたちの将来を見据えて、ワクチン接種の是非を考えてみませんか。 将来多くの女性が子宮を失い、命を落とすといった不利益を生じさせないために・・・。
南町田こどもクリニック 佐藤 明弘 先生