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多発性嚢胞腎という病気を知っていますか?

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多発性嚢胞腎という病気を知っていますか?

 腎臓は血液を原料におしっこを作る臓器です。日本では約4000人に1人の割合で、両方の腎臓の中に水の入った袋(嚢胞のうほう )が少しずつ増え、腎臓がもとの数倍の大きさになっていく遺伝性の病気があり、常染色体優性多発性嚢胞腎といいます。


<どういう病気なの?>
 この病気は約半数の方が60歳までに、血液透析などの腎代替療法(腎臓が働かなくなった方がその後に受ける治療)を必要としていたのですが、近年、末期腎不全に至るまでの年齢が確実に伸びてきています。
 理由としては、この病気に合併することが多かった難治性の高血圧症を、しっかり治療できるようになってきたこと、そしてもうひとつは、国内で開発された多発性嚢胞腎に対する治療薬が2014年から使われ始めたことによるものです。


<合併症は?>
 いくつかの合併症のうち注意したいのが、くも膜下出血の原因になる脳動脈瘤という病気です。5~10%の患者さんに見つかると言われています。そのほか心臓弁の逆流症が、およそ2割の患者さんに見つかります。


<症状は?>
 嚢胞の数が増え腎臓が大きくなっていく病気なのですが、 厄介なことに肝臓にも、嚢胞が出てくることが多いのです。大きくなった肝臓や腎臓が、胃や腸を圧迫するため、腹部ぼう満感や食欲不振が表れます。また大きくなった嚢胞が破裂すると血尿も見られます。その他、嚢胞内にはバイ菌が侵入しやすく、患者さんの体力が低下した際に、嚢胞の中に隠れていたバイ菌が暴れ出し、高熱が出ることも稀ではありません。


<診断は早いほうがいい?>
 多発性嚢胞腎の親御さんから、お子さんが遺伝子を受け継ぐ可能性は50%です。まだ根本的治療が確立していないため、早期診断は積極的には奨められていません。
 デリケートな問題ですが、お子さんが学校検診で何か異常を指摘された場合には、ご相談頂ければと思います。


町田駅前内科クリニック 伊原 玄英 先生


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