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エボラ出血熱

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身近な医療情報

エボラ出血熱

 エボラ出血熱は1976年に最初の患者が出て以来、その後アフリカの各地の辺地で確認されていますが、今回は西アフリカでは初めての流行で、リベリア、シエラレオネ、ギニアの3か国は過去にエボラ出血熱に対応した経験はありませんでした。流行が始まったのは1年近く前で感染が都市部に波及したことで急速に広がりました。昨年の12月に最初の感染者がギニアで確認され、その後リベリア、シエラレオネに拡大。患者数約13,300人、死者数約5,000人のほとんどが、この3か国に集中しています。


 エボラ出血熱はエボラウイルスによる感染症で通常は潜伏期間(2日~3週間)を経て発熱や頭痛、筋肉痛等に始まり、症状が進むと嘔吐、下痢、発疹の症状がみられます。吐血、歯肉からの出血、消化管からの出血等、酷い全身の出血症状となり、多臓器不全に陥り死に至る可能性が高くなります。現時点では有効な治療薬やワクチンはなく、致死率は20%から最大で90%程度までに達しています。


 エボラ流行国リベリアに滞在歴のある男性が、羽田空港の検疫所に滞在歴を申告した時には異常はありませんでしたが、「健康監視」対象となりました。その後、発熱症状を訴えて町田市内の医療機関を受診、のどの痛みもあり扁桃炎と診断されました。帰宅後に発熱を検疫所にメールで報告、同日夕に自宅からエボラ出血熱患者を治療できる指定医療機関の国立国際医療研究センター(東京都新宿区)に搬送され入院。厚労省は患者の血液等を国立感染症研究所(東京都武蔵村山市)に運び、エボラウイルス等の検査が行われました。


 検査結果は陰性でした。エボラ出血熱流行国から出国後3週間は健康監視の対象として、検疫所に1日2回健康状態の報告が義務づけられています。また、発熱時は医療機関を受診しないようにしなければなりませんが、今回は口頭指示のみで、検疫所からの指示書には明記されていなかったのでこのような事態となったようです。


 日本国内にいるとエボラ出血熱のような病気は「対岸の火事」のようで身近に感じないものですが、グローバル化した現代社会では実は「今ここにある危機」であるということを改めて教えてくれた事例でした。


とくとみ内科消化器科医院 徳富 義明 先生

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