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Achenbach(アッヘンバッハ)症候群

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Achenbach(アッヘンバッハ)症候群

 『突然ズキッと痛みがあり、気付いたら指が紫色になっていた』。この様な訴えで受診する患者さんがいらっしゃる。Achenbach(アッヘンバッハ)症候群と呼ばれるもので、外傷や血液凝固能異常などの明らかな誘因がないにもかかわらず、突然手指や手掌(まれに足趾・足底)などに痛みや痺れ・つっぱりといった異常感覚が生じ、同部位に血腫が形成される疾患である。血腫ができると、腫脹で神経や血管が圧迫されるためか、時には屈曲などの運動が障害され指が蒼白化する人もいるようである。  


 その後皮下出血や紫斑を残し、数日後に自然消失する。時に出血発作は繰り返され、短期間に頻回の人もいれば数年ごとの人もいる。好発部は示指・中指であり中節部と基節部に出現する事が多く、50代以降の女性に多く認められる。1955年にAchenbachにより提唱された疾患概念 (「Medizinische 1958;52:2138-40」)である。


 原因として加齢に伴う局所の血管の脆弱性が疑われているが、血液検査などを行っても異常所見は見られずはっきりしていない。本人が気付かないくらいのちょっとした刺激などを契機に微小血管が壊れ、血腫を作るのではないかと考えられている。


 特別な治療を行わずとも自然消退する。ただし同様の症状を反復することが多いため、『内科的異常があるのではないか』『脳出血などを起こすのではないか』と患者さんの不安は強いようである。患者さんへの説明の際には、皮下血腫を繰り返したとしても、内臓的な要因や特定の原因になりやすい基礎疾患もない点を強調しておくことが欠かせない。


加藤医院 加藤 雅彦 先生

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