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遷延性慢性咳嗽について
遷延性慢性咳嗽(せんえんせいまんせいがいそう)とは、喀痰(かくたん)を伴う湿性咳嗽や、喀痰を伴わない乾性咳嗽が、短いもので2週間、長いもので1か月以上継続する状態のことを言います。
その多くは感冒を含む上気道の感染における主症状である頭痛や発熱が軽快後、咳嗽のみが残存するもので、鎮咳剤の服用で改善します。
しかし、中には他の原因によるものもあります。先行症状に胸やけや咽頭異和感を伴う場合は胃食道逆流現象が、鼻汁や鼻閉を伴う場合は副鼻腔炎に起因している可能性があります。前者には胃酸分泌抑制作用を持つ薬剤のPPI、後者にはマクロライド系抗菌剤の服用で軽快することもあります。
また、咳嗽の出現が夜間に多い、あるいは季節性がある場合は、咳喘息の可能性があり、鎮咳剤の他に気管支拡張剤や吸入ステロイド剤が必要になることもあります。
咳嗽以外に、継続する微熱や喀痰に血液の混入がある場合は、肺結核や肺・咽喉頭の腫瘍に起因している可能性も考えられます。その場合は、喀痰検査や胸部CTスキャンなど精密検査を要することもあります。
長引く咳嗽にはさまざまな原因が考えられます。現在このような症状がある方は、お近くの医療機関を受診することをお勧めします。
横沢クリニック 横沢 利明 先生
(「広報まちだ」2013年12月1日号「健康メモ」より転載)