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ゴルフによる腰痛

 秋はゴルフに最適のシーズンですが、同時にゴルフによる障害も多くなります。ゴルフもスポーツであることを認識しなおして、基礎体力をつけておくことやゴルフに出かける前には、十分に体調を整えておくことが障害を未然に防ぎます。


 先日こんな質問がありました。『20年近くゴルフをやっていますが、最近、ゴルフ場でプレーをした後や、ゴルフ練習場でスイングの練習をした後、腰の鈍痛がなかなかとれません。練習は、月に3・4回程度です。やりすぎでは無いと思いますが、年のせいでしょうか。予防対策は無いものでしょうか。』というものです。


 ゴルフ障害の統計によると、腰痛は最も多く、ゴルフのインストラクターを目指す人のグループでは65%で第1位、一般のゴルフ会員では31%強で、やはりいちばん多いゴルフ障害になっています。


 ゴルフでは、体を回旋させてプレーをしますが、実は腰は回す運動には不向きにできているのです。腰は前後にはよく動きますが、回す動作は、5つの腰椎全体でわずか5度程度しか回らないのです。もっともゴルフのスイングは腰だけで行うのではなく、胸や股関節なども使っています。人間の体幹部の中で回す動作に適した構造の骨は、頸椎の1、2番目の骨の間と股関節だけです。そのためゴルフのスイングで体をひねるときは、腰と骨盤には大きな負担がかかっているのです。


 長年ゴルフをしてきたのに、最近になって腰が痛みだしたというのは、年をとって基礎体力が落ちてきたことや体の柔軟性がなくなってきたためではないかと思われます。  ゴルフの練習以外に、腹筋や背筋を鍛える筋力トレーニングをしたりストレッチ体操をすることが、腰痛予防に役立つと思います。これらの運動は家庭でいつでもできますから、暇を見つけてこまめに行ってみてください。


 また腰痛を防ぐには、正しいスイングをすることが第一ともいわれます。これができれば腰に負担がかからないそうですから、スイングの姿勢のチェックも必要かもしれません。筋力が衰えたために、自分では意識しないでいて姿勢が崩れるということもありそうです。


 その他には、ゴルフの練習やプレーをする前には、十分体を動かしてウォーミングアップすることも大事です。コースに出て、いきなりクラブを振ったりするのは、腰痛だけでなく、さまざまな障害のもとになりかねません。また、自分がいつも行っているのとは反対側のスイングをするのも腰痛予防にはよいようです。


 誰でもスイングは一定の方向にだけしますが、これでは体の一定の筋肉しか使っていません。しかし、逆のスイングをすると、いつも使っている筋肉に拮抗する筋肉を使うことになるのでバランスがよくなり、腰椎の関節の柔軟性も増します。また、拮抗筋の強化で制動力がよくなるので、腰椎関節の捻挫なども予防できます。  プレーの後は、クールダウンをたっぷり行ってこわばった筋肉などをほぐしておくことも大切でしょう。


 ただし、腰痛はさまざまな病気が原因になって起こります。これらを実行しても腰痛がとれないという場合には、一度整形外科で診てもらい、病気が潜んでいないかをチェックしてもらうことが大事です。


三井整形外科 三井 健二 先生

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