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ピロリ菌を退治しよう
胃には強い胃酸があるため、通常の菌は生息できません。ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を持っており、この酵素がピロリ菌の周辺をアルカリ性の環境にすることで胃酸を中和して身を守っているのです。つまり、ピロリ菌は胃の粘膜に生息している細菌なのです。
ピロリ菌の感染経路ははっきり分かってはいませんが、口を介した感染が大部分であろうと考えられています。ピロリ菌の感染は慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の発生と密接な関係にあります。また、一部の患者さんでは胃がんになることも報告されています。
慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の人がピロリ菌に感染している場合、ピロリ菌を退治する治療(除菌療法)を行うことによって、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の再発が明らかに抑制されます。また、ピロリ菌を除菌することで、胃がんの発生する確率を減らすことができます。
ピロリ菌の除菌療法は、1種類の「胃酸の分泌を抑える薬」2種類の「抗菌薬」を7日間服用するだけで80%の確率でピロリ菌を退治することができます。1回目の除菌療法でピロリ菌を退治できなかった場合は、「抗菌薬」の種類を変えて2回目の除菌療法を行います。2回目の除菌療法でも80%の確率でピロリ菌を退治することができます。つまり、1回目と2回目の除菌療法を合わせた除菌率は95%を超えます。
皆さんも、ピロリ菌を退治して健康な胃を取り戻しましょう。
榛名坂たなか内科クリニック 田中 一郎 先生
(「広報まちだ」2013年6月1日号「健康メモ」より転載)