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時間外労働時間の問題
企業の産業医をしていますが、最近過剰な時間外労働時間の問題で相談に来られる方がいます。これも景気が上向きになってきたせいでしょうか。来られる人は20歳代の後半から40歳の人が多く、相談者の仕事は他社との契約の日までにその仕事を完成させなければ約束違反になり、また会社の信用問題になるので、何時も時間外労働時間の事を気にかけては仕事をしておらず、「時間外労働時間を削って仕事を完成させるなんてどうにも出来ない事です」と言っています。
どうして相談に来たのかと聞きますと、総務関係の人が「時間外労働時間が多いので一度会社の産業医の所に行って健康相談して下さい」と言われて来たのですと。来られた相談者の身体状況や過去3ヶ月間の時間外労働時間と来院した月の時間外労働時間を聞き、また身体・精神状態・疲労度等の調査書を調べているうちに平成10年の36協定(36協定で定められた労働時間の延長の限度等に関する基準)や平成22年から改正労働基準法のことも思い出しました。
相談に来られた人の会社は週5日制で午前9時~午後6時まで勤務での8時間労働で週40時間の労働時間です。相談に来られた方は、ホワイトカラー・エグゼンプション(WE・年収などの条件を満たす労働者を、労働時間の規制対象から除外する制度)でもなく裁量がある労働者(管理監督者)ではない普通の勤務者です。36協定締結している会社ですが労働時間延長の限度を超えて労働しなければ仕事が完了しないケースがかなりあるようです。労使とも労働時間を減らす工夫が必要であり、それがうつ病等や過労死を予防する事に繋がると思われます。
とくとみ内科消化器科医院 徳富 義明 先生