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ノロウイルス感染

 ノロウイルスは、1~2月に発症のピークを迎え、伝染性の強い感染症を引き起こすと言われています。


 今から約半世紀前の1968年、米国のオハイオ州ノーウォークという町の小学校で集団発生した急性胃腸炎の学童の排泄物からウイルスが検出され、1972年に電子顕微鏡下でその形態が明らかにされました。2002年8月、国際ウイルス学会で正式に「ノロウイルス」と命名され、その名前が使われるようになりました。


 ノロウイルスにも色々な遺伝子型があり、感染性の強いものからそうでないものまで多種多様の性質を持っています。そのため、なかなか免疫を獲得することが困難であると考えられています。


 感染経路は、ほとんどが経口で、カキ等の二枚貝の生食によるものや、感染者から食品・調理器具・排泄物などを介して他者に感染する経路が知られています。予防には、これらの経路をいかに断つかが重要な鍵です。


 感染すると、24~48時間の潜伏期を経て、発症後平均1~2日間、次のような症状が続きます。
○吐き気や嘔吐
○激しい下痢(ほとんどは水のような便で、腹痛を伴うこともあります)
○発熱(あっても軽いことが多い)
 また高齢者の場合、吐物の誤嚥による窒息や肺炎が報告されています。中には、他のウイルス感染と同様、全く症状の出ないこともあります。


 通常2~3日で軽快しますが、感染者からの排泄物を介するノロウイルスの排出は、更に1週間程度続くので、トイレの掃除や消毒は大切です。


 次のような感染対策を行いましょう。
○せっけんと流水による十分な手洗いを励行する
○貝類等の食品は、食べる前に十分加熱する(85度以上の温度で1分以上加熱するとウイルスは死滅すると言われています)
○家族に感染者が出た場合は、トイレ周りを塩素系の消毒液で丁寧に消毒する(アルコール系の消毒薬は無効です)


 ウイルスが原因ですので、有効な治療法はなく、対症療法に頼らざるを得ません。それだけに予防が大切です。


ふくいんクリニック 阪井田 仁士 先生  
(「広報まちだ」2014年2月1日号「健康メモ」より転載)   

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