身近な医療情報
心肺蘇生の普及は大切
病院の外で急な心臓疾患を起こした際、そのまま死亡に至るケースが多いと言われています。例えば、路上で意識消失したり、けいれんで倒れたりした時、心臓が心室細動という不整脈を起こして死に至る可能性が考えられます。。
心室細動は心臓の筋肉がブルブル震えた状態で、まとまった心筋収縮が出来ないため、一定のスピードで一定の量の血液を拍出できなくなり、結果として脳や心臓自身への血液供給が絶たれて死に至ることになります。
しかし、最近は心肺蘇生の認識が国民に広く普及し、さまざまな施設にAED(心室細動をリセットし、もとの心筋収縮を取り戻すための機械)が設置されるようになりました。
AEDの使用が1分遅れるごとに、救命率は1割低下すると言われています。救急車を呼ぶまでに3分、到着までに約8分かかったとすると、その人は亡くなってしまいます。1回でもAED講習を受け、物怖じしないで蘇生をやろうとする気持ちがあれば、助かる命の数はグンと増えるに違いありません。「見知らぬ人にマウスツーマウスの呼吸なんて嫌だな」。そう考えるのもごもっとも。そこで、「コール&プッシュ」と呼ばれる、簡便な胸部圧迫術とAEDによる蘇生法を紹介します。
【倒れている人を発見】
①コール「大丈夫ですか?どうしましたか?」
意識があるかどうかをまず確認します。
②コール「誰か来て下さい!」
周りの人をたくさん集めましょう。
③コール「救急車を呼んで下さい!AEDを持ってきて下さい」
集まってきた人に、救急車とAEDをお願いします。
④プッシュ=自分はひたすら心臓マッサージを続けます。
マッサージは、みぞおちの少し上の胸骨部分を一定のサイクルで圧迫&解除し続けます。
人工呼吸をしなくても救命率に大きな差が出ないとされています。
⑤プッシュ=AEDが到着したらボタンをプッシュ。
機械は講習会で一度は触っておくことが理想です。
ちなみに、胸部圧迫のサイクルは100回/分くらいが良いとされています。ビー・ジーズの「ステイン・アライヴ」や「アンパンマンのマーチ」、少し早めの「ドラえもんのうた」もお勧めします。
小口 朝彦 先生
(「広報まちだ」2015年2月11日号「健康メモ」より転載)