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睡眠時無呼吸症候群におけるnCPAP療法

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睡眠時無呼吸症候群におけるnCPAP療法

 睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)は7時間の睡眠中に少なくとも30回以上の無呼吸もしくは、1時間に5回以上の無呼吸が認められる場合に診断されます。主な自覚症状としては、寝ている間にいびきをかく、呼吸が止まる、何度も目が覚める、また起床時の頭痛や日中における強い眠気、倦怠感等があります。また高血圧、心疾患はもとより糖尿病等の内分泌疾患等の合併症を来すとして、近年注目を浴びております。


 SASに対するnCPAP療法は鼻にマスクを装着する事により、陽圧を鼻孔から上気道に加える事により気道を確保する治療法です。侵襲性が少なく、安全であり、有効性も実証されており、最良の治療法といえます。その効果は気道の筋肉の緊張の改善、気道の浮腫の改善、肺の容量の増大等にも寄与します。そして、日中の傾眠傾向、起床時の頭痛、夜間頻尿、中途覚醒といった自覚症状を劇的に減少させ、心血管イベントのリスクを回避し、糖尿病等の内分泌疾患の改善をもたらします。かようにnCPAP療法の有益性に異論をはさむ余地は無いのですが、口、眼、皮膚に対する副作用が存在する事も事実です。そういった副作用に関しては、鼻マスクの種類を換えたり、マスクのフィッティングを調節したり、CPAPの機械の設定を変える事により、改善が期待出来ます。


 また、大きな問題点として毎晩機械を装着して大量の空気を吸入しながら就寝しなければならないという煩わしさが挙げられます。nCPAP療法の長期に亘る治療のコンプライアンスは約50~80%と必ずしも高くはありません。日中の傾眠等重症度が高い例は、治療に対し動機づけが割と容易ですが、症状が軽症~中等度な例に関しては、長期に亘る治療の継続が難しい事も多々有ります。月一回の外来受診時にnCPAP療法による自覚症状の改善や器質的疾患(心疾患、脳梗塞、内分泌疾患)のリスクを回避する等の有益性を患者に丁寧に説明する事が重要であります。頻度の高い閉塞型SASに多い肥満のケースに於いては、体重を減少する必要性を強く説明する事が重要であります。そしてnCPAP療法を導入する事により、食事療法、運動療法を成功へ導く事が可能となる事も多いです。


泰生医院 金沢 健雅 先生

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