身近な医療情報
魚骨異物への対応
魚の骨が喉に引っかかった・・・と受診される患者さんは意外と多いです。いわゆる「魚骨異物」と呼称されていますが、このような時に皆さんはどのように対処されますか?巷では「ご飯を丸呑みするとよい」といわれているようですが、これは本当に正しいのでしょうか?
答えは「ノー」です。というか絶対にやってはいけません。理由は刺さっている骨を金槌で叩くように、粘膜の奥に押し込んでしまう事があるからです。「オレはこの方法で取れたことがあるぞ」というお方、それはたまたまラッキーだっただけです。これからはお願いですからやめてください。不思議な事に、骨を取ろうとしてご飯を丸呑みしたという患者さんは非常に多く、ある意味驚いています。
もしも魚の骨が刺さったとしたら、無理に取ろうとせず、耳鼻科を受診してください。診察の際には喉のどの部位に刺さったかが重要になります。口を開けてもらった状態ですぐに取れるケースもあれば、喉の奥の方だと、特殊な器具を使って取ることもあります。咽頭反射が強い人だと嗚咽を伴うので「たかが骨なのに意外とキツかったなあ」と感じることもあるでしょう。
喉の奥というのは、おそらく皆さんが想像する以上に入り組んでいて複雑な構造をしています。特にウナギなど細い骨だと粘膜の隙間などに隠れてしまい、すぐに発見するのが難しい事があります。やはり明視下にしっかり探して、確認したら器具で確実に取る、というのが間違いのない方法だと思います。
ただし時に遭遇するのが、「魚骨が粘膜に当たり、刺さってはいないが傷がついてしまった」というケースです。気合いを入れて探しても骨が見当たらず、傷っぽい所見がある、という場合には、抗菌剤を処方して経過をみることもあります。ちょっと微妙な感じですが、このあたりはケースバイケースになります。
山本耳鼻咽喉科 山本 一博 先生